血液検査の異常
血糖値が高い(高血糖)
血糖値が126㎎/dl以上、HbA1c(=過去1~2か月間の血糖平均)が6.5(NGSP値)以上の方は糖尿病です。また110~126㎎/dl未満の方は糖尿病の恐れがあります。糖尿病は、動脈硬化・腎臓病・眼底出血・大腸がんリスクの増加など合併症の多い病気です。また、早期であれば飲み薬での加療となりますが、重症であればインスリン注射などが必要となりますので、早めに受診をして検査や治療をおこなう必要があります。
コレステロール・中性脂肪の異常(脂質異常)
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が高いと動脈硬化の原因となります。
頸動脈超音波検査(頸動脈エコー検査)を行う事もお勧めしています。また、出来ましたら初診時や血液検査を予定している際には、朝食または昼食を食べずにご来院ください。
特に中性脂肪は食事に影響を受けやすく容易に数値が上下いたします。血液検査前10時間程度は食事やカロリーのあるものを摂らないようにお願いいたします。
尿酸値が高い(高尿酸血症)
血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり炎症が起きてきます。これを痛風といい、足の親指の付け根などに生じやすく、風が吹くだけでも痛いという事で痛風と呼ばれます。また尿酸値が高い状態を放置すると、関節炎による結節(コブのようなもの)ができたり、腎機能障害や尿路結石のリスクを高めたりします。血清尿酸値が8.0mg/dl以上を治療開始基準とし、6.0mg/dl以下を治療中の目標値とします。
高尿酸血症に関する詳しい内容に関してはこちらのページ(準備中)をご参照ください。
貧血
貧血になると、体内の酸素が少なくなり、立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛み、動悸、疲労感などの症状が出る事があります。原因としては、鉄欠乏性貧血が多いですが、鉄欠乏と言っても「摂取する量が少ない」といったような簡単な理由以外にも胃腸から少量の出血がある、婦人科疾患(子宮筋腫、内膜症)の影響がある、お茶・牛乳などの大量摂取による鉄の吸収不良がある、など様々な原因があります。また鉄欠乏性貧血の他にも膠原病・リウマチなどの慢性疾患からくる貧血や胃の手術後、剣道や長距離マラソン選手(強く踏み込む事で赤血球が壊れるため)など、特殊な貧血がある事もあります。貧血の指摘があれば、その貧血の原因・種類を調べるために再検査を受けましょう。
肝機能・γ-GTPの異常
最も多い原因はアルコールや脂肪肝ですが、B型肝炎やC型肝炎などの慢性ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)と言った比較的稀な疾患が原因の事もあります。肝機能の異常を指摘されたらば、その原因と肝臓の状況を把握しましょう。原因・疾患によって、肝機能の改善方法は変わってきます。
原因と肝臓の状況を把握のためには、血液検査や腹部超音波検査が有用です。
B型・C型肝炎検査が陽性だった
HBs抗原が陽性であるという事は、B型肝炎ウイルスが体の中にいる(=感染している)という事を示しますが、実際にウイルスが活動的であるか/落ち着いているか(B型肝炎キャリアなどと言います)といった状況が非常に重要です。下の図のように状況を把握して、どのような治療が必要なのか、もしくはどれくらいの頻度で経過をみていくべきなのか、など肝臓専門医に一度ご相談ください。
また、C型肝炎は近年インターフェロンフリー治療の開発により治る病気になりました。B型肝炎・C型肝炎の治療にあたっては、B型・C型ウイルス肝炎治療医療費助成制度などもありますので、肝炎検査が陽性であった方は一度、医療機関を受診してください。
日本肝臓学会 編:慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2020より改変
腫瘍マーカーが高かった
腫瘍マーカーには、色々な種類がありその項目毎でどの「がん」の可能性があるか異なります。そのため、おこなうべき検査も変わってきます。また、腫瘍マーカーは喫煙・肝臓/腎臓疾患・糖尿病・炎症を伴う疾患・甲状腺機能低下症・加齢など、がん以外の原因で上がる事もあります。指摘があった腫瘍マーカーの種類をご確認頂き、ご相談頂ければと思います。
腫瘍マーカーに関する詳しい内容に関してはこちらのページ(準備中)をご参照ください。
ピロリ菌検査(ABC検診)が陽性だった
日本は、2020年の胃がん罹患率(胃がんになる人/人口の割合)で世界2位と胃がん大国ですが、胃がんの最大のリスクはピロリ菌です。ABC検診では、「ピロリ菌感染の有無を調べる検査」と「萎縮性胃炎の有無を調べる検査(ペプシノーゲン法)」を組み合わせて胃がんになるリスクを調べます。この検査でピロリ菌検査が陽性となればピロリ菌除菌をおこない、萎縮性胃炎のある人には定期的な胃カメラが推奨されます。
ピロリ菌およびABC検診に関する詳しい内容に関してはこちらのページ(準備中)をご参照ください。