
脂肪肝
脂肪肝
中性脂肪が肝臓に多く蓄積した状態となるのが脂肪肝です。
過食や運動不足、飲酒などが原因としてよく知られています。健康診断などで指摘されることも多い病気ですが、脂肪肝だけで症状が現れることはほとんどありません。
飲酒しない人の脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びますが、この中に肝炎が持続し、徐々に線維化が進行する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という病態があることが分かってきました。
NASHでは、肝炎を改善しない限り、肝硬変や肝がんに進行していくとされています。
肥満や生活習慣病との関連性が強いことから、生活習慣を改善することが有効です。診断には肝生検という肝臓の組織を採取して調べる検査があります。
脂肪肝は主に以下の2つのタイプに分類されます。
01
非アルコール性脂肪肝
(NAFLD)
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病が原因となることが多いです。
NAFLDはさらに、炎症がない単純脂肪肝と、炎症が伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分かれます。NASHは進行すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まります。
02
アルコール性脂肪肝
過剰なアルコール摂取が原因で肝臓に脂肪が蓄積します。
アルコール性肝疾患の初期段階で、アルコールを摂取し続けると、アルコール性肝炎や肝硬変に進行することがあります。
肝臓は様々な酵素の働きによって代謝や解毒などの機能を果たしていますが、肝臓が障害を受けると、血液の成分が変化したり、酵素が血液中に漏れ出したりします。そこで、血液の成分を検査して、肝臓が正常に機能しているかを調べます。
ALT(GPT)
肝細胞内に多く含まれる酵素で、肝臓や胆汁(肝臓が作る消化液)が流れる胆道に障害が起こると血液中の数値が高くなります。
AST(GOT)
肝細胞をはじめ腎臓や心筋(心臓の筋肉)の細胞内に多く含まれている酵素で、肝細胞や心筋の細胞内で障害が起こると、血液の中に流れ出し、数値が高くなります。
γ-GTP(γ‐GT)
肝臓、腎臓、すい臓、小腸などに含まれている酵素で、アルコール摂取量が多いときや脂肪分の摂取が多いときに数値が高くなります。
ALP
肝臓や胆道、骨、小腸、腎臓などに含まれる酵素で、肝臓障害や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血液中にあふれ出てきて数値が高くなります。
アルブミン
肝臓で作られるたんぱく質で、血清中の蛋白の半分以上を占めています。肝臓の機能が低下すると数値が下がってきます。
総ビリルビン
古くなった赤血球が壊れてできる色素で、胆汁色素とも呼ばれ、胆汁の主成分となっています。肝臓障害や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血液中にあふれ出て数値が上がります。
肝炎ウイルスに感染しているかを調べる検査には、「HBs抗原」と「HCV抗体」があります。
腹部超音波検査では脂肪肝の有無などがわかります。
脂肪肝の治療は、主に生活習慣の改善が中心となります。
食事療法
カロリー制限や、バランスの取れた食事を心がけ、特に脂質や糖質の摂取を控えることがすすめられています。
運動
週に150分以上の中程度の有酸素運動を行うことで、体脂肪の減少が期待できます。
有酸素運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどが挙げられます。
また、筋肉量を増やすことで基礎代謝が向上し、脂肪の燃焼が促進されます。
禁酒
アルコール性脂肪肝の場合、アルコール摂取を完全に止めることが必要です。アルコールは肝臓に直接的な負荷をかけるため完全な禁酒が必要です。
薬物療法
NAFLDの場合、糖尿病や高脂血症の治療薬が使用されることがありますが、脂肪肝自体を治療する特効薬はありません。
脂肪肝は適切な生活習慣の改善が予防・治療に関係してきます。
生活習慣病や肥満のリスクがある場合は、早めに対応することが大切です。
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